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音の地図を作っていたら、心の疲れも溶けていく・・・〈サウンドマップ〉という魔法
耳を澄まして、聴こえた音で地図を作る〈サウンドマップ〉は、日常のストレスを和らげ、自然の癒しと命の豊かさに気づかせてくれる特別な時間。心休まる体験をご紹介します。
はじめに

毎日のお仕事や家事、育児。あるいは、目前に控えた面接や試験へのプレッシャー、そして、将来への漠然とした不安……。社会で生きていく上で、私たちはどうしても何かしらのストレスを抱えてしまうものです。 日々の生活で頭や心がパンパンになってしまったとき、皆さんはどうやって息抜きをしていますか?

今回は、自然の中に腰を落ち着け、ゆったりと耳を澄ますことで、日常のストレスからも解放される?!ネイチャーゲーム〈サウンドマップ〉をご紹介します。

〈サウンドマップ〉ってどんなアクティビティ?

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〈サウンドマップ〉は、その名の通り「音の地図」を作るアクティビティです。やり方はとてもシンプル。

〈サウンドマップ〉のやり方

1. 場所を見つける: 公園や森、あるいは庭先など、自然を感じられる場所で、心地よく座れる場所を見つけます。

2. 中心を決める: 紙の真ん中に「自分」を表すマークを書きます。

3. 耳をすます: 周りから聞こえてくる音にじっと耳を澄ませましょう。

4. 地図に落とし込む: 音が聞こえてきた方向や距離に合わせて、紙の上に音を記号で記録していきます。


ここでのポイントは、「絵を描くわけではない」ということ。 鳥の鳴き声が聞こえたからといって、鳥のイラストを描く必要はありません。イラストを描くことに意識が向いてしまうと、「音を聴くこと」へ気持ちが向かわなくなってしまうからです。

「スーッ」と伸びる線、ギザギザ、波線、点線、あるいは丸や三角、星マークなど……自分が直感的に「こんな感じの音だな」と思った、簡単な記号で表していきましょう。

また、特別な紙を用意する必要もありません。普段使っているメモ帳の空きスペースを使ったり、「今日はサウンドマップの日記にしちゃおう!」なんていうのも、おもしろいかもしれませんね。

今、この瞬間だけに集中する贅沢な時間

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この活動の最大の魅力は、「今、ここ」に深く集中できることです。

私たちは普段、過去の失敗をふりかえって悩んだり、未来のことを考えて不安になったりと、常に頭を動かしています。

しかし、自然の中で一箇所にとどまり、ひたすら「音」に耳を傾けていると、そうした日常のわずらさしさや、自分の動きを鈍らせるちょっとした引っ掛かりを、一旦横に置いておくことができます。

不思議なもので、音に集中すればするほど、自然との心の距離が近づき、心が穏やかになっていきます。

イヤホンを外すと見えてくる「命の豊かさ」

私は毎年、大学の授業で学生さんたちと〈サウンドマップ〉を行っています。普段は何気なく通り過ぎているだけの中庭や近所の公園ですが、いざ耳を澄ますと、驚くほどたくさんの音が溢れていることに気づきます。

実際に体験した学生さんたちからは、こんな嬉しい声が届いています。

• 普段歩いている時、イヤホンで音楽を聴いてしまっていたけれど、意識的に音を聴いてみると、複数の種類の鳥の声や風の音、虫の羽音など、たくさんの音が聞こえて驚きました

• 自然の中にはたくさんの音が溢れていて、多くの生きものがこの中庭で生活しているんだと感じました。自分もその自然の一部であることを実感できました

• 目を閉じて聴覚を使うことで、普段いかに目からの情報に頼っていたかに気づきました。未来への焦りから解放され、自然と心が落ち着く感覚を知ることができました

• でき上がった記号の地図を見ていると、まるで海の中の絵のようでした。自然がインスピレーションを呼び起こしてくれました


最初は「鳥の声」とひとくくりにしていた音も、よく聴けば「あれ、いろんな鳴き声の鳥がいるぞ」風の音や、葉っぱが擦れる音も聴こえる」と、どんどん世界が広がっていきます。それはつまり、私たちが一人で生きているのではなく、たくさんの命や自然と共にあるという温かい気づきでもあります。

地図を描くのを忘れてしまうほどに

実は、この〈サウンドマップ〉をしていると、指導する側として「嬉しくも困ったこと」が起きることがあります。それは、自然の中で過ごすことに安心しきって、そのまま眠ってしまう人が出ることです。終わりの合図を鳴らしても、なかなか戻ってきてくれません(笑)。

また、「周りから聴こえてくる音や、そこで佇んでいる状況があまりにも心地よすぎて、途中から地図を描くのを忘れてしまいました」と笑って教えてくれる方もいます。それくらい、自然に溶け込み、心地よさに身を委ねることができる魔法のような時間なのです。

夏休みの宿題で見つけた、毎日の自然の移ろい

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〈サウンドマップ〉は、時期や時間、場所を変えて行うことでまた違った、おもしろさが見えてきます。

以前、ある小学生が夏休みの宿題として、毎日同じ時間に〈サウンドマップ〉を描いて提出したというお話を聞いたことがあります。

夏休みの始まりから、中盤、そして終わりへと向かう中で、自然が奏でる音は毎日少しずつ違ってきます。季節の進みとともにだんだんと変わることもあれば、その日の天候によって大きく変わることもあるでしょう。

きっとそのお子さんは、日々の自然の変化に気づき、思いを馳せる素敵な時間を過ごしたのだと思います。ちなみに、〈サウンドマップ〉をご存じなかった先生からの評価はあまり芳しくなかったそうですが……もし先生がこの活動を知っていたら、まったく違った反応だったかもしれませんね。

わかちあいで見えてくる、それぞれの「音の世界」

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〈サウンドマップ〉は一人で静かに楽しむ活動ですが、できあがった地図を誰かと見せ合い、「どんな音が聞こえた?」と話をするのもとても素敵な時間になります。

同じ場所で体験しても、座っていた向きが少し違うだけで、聞こえてくる音が違ったりします。また、共通の音を聴いていても、それを表す記号が全然違っていて、おもしろいことも。

「こんな音、聞いた?」「わかるわかる!しゃがれた声のカラスいたよね!」「えー!そんな音してたのー?」と、気づかなかった音の話や、一人ひとりの感じ方の違いに思いを馳せることができるのは、誰かと一緒に体験するからこそのよろこびです。

おもしろい記号で表現された音を見つけたら、「これ、どんな音だったの?」と思わず聞いてみたくなっちゃいますね。

まずは身近な自然から。そして案内人へ

お散歩の途中で手軽にリフレッシュするのも素敵ですが、こうして自然の中に腰を落ち着け、ゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。都会の公園でも、街路樹の下でもかまいません。

ほんの数分でも、自然の音に耳を澄ませるだけで、きっと心がスッと軽くなります。

そして一度自然の音が体に入ってきたら、きっと周りの音の感じ方が変わっていきます。


この「自然の豊かさに気づき、心癒やされる体験」を、もっと深く味わってみたい、誰かに伝えたいと思われたら、「自然が好き」を資格にしませんか? 

ネイチャーゲームリーダー養成講座では、今回ご紹介したような「自然と深くつながるアクティビティ」をたっぷり体験しながら学ぶことができます。特別な知識は必要ありません。自然が好き、そして自然の中でホッとしたいという気持ちが大切です。


ぜひ次の休日、お近くの公園で、あなただけの「音の地図」を描いてみてくださいね。



(2026.07.02記事作成)


藤田 航平 ふじた こうへい
公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 事務局次長
ネイチャーゲームトレーナー・CONEトレーナー


いま3つの大学の非常勤講師として自然体験活動を担当させてもらっています。その中で〈サウンドマップ〉を行うのですが、大学ごと、季節ごとに聞こえてくる音に違いがあるものの、「こんなに音がいっぱいあるなんてびっくりした」という声は共通しています。そして「癒された〜」の声も。最近の学生の皆さん、ほんとに忙しそうで、リフレッシュできる授業になっていたらいいな、と思っています。

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