今から10年以上も前のことになりますが、北海道の専門学校のリーダー養成講座の実習中に〈動物紳士録〉でクマになった時ことでした。私は自分が知っているクマのイメージに没入しながら四足歩行でノソリノソリと歩き始め、時々上半身を起こして鼻の周囲をヒクヒクと動かしながら辺りのニオイを嗅ぎ、川に着いた想定でサケを捕まえて食べ始める仕草をしていました。
すると突然、一人の学生が参入して来たかと思ったら、彼なりの表現でクマの仕草をはじめ、2匹のクマになったことがあります。
後でその学生に尋ねてみると「見ていたら何だか急に自分もやりたくなって、気がついたら一緒に楽しんでいました…」との事でした。なりきりの空気が伝染したのかはわかりませんが、私の中でこの出来事今でも珍しいシェアの体験エピソードとして残っています。
〈動物紳士録〉のやり方
(1)演じたい生きものを一つ決める
(2)その生きものの特徴的な仕草や動作などを演じる
(3)複数人でやる場合には、一人が演じ、見ている人が何の生きものかを当てるのもいいでしょう
2016年、コーネルさんをお招きして清里で行われた会員の集いで、最近思いついた新しいアクティビティとして〈ネイチャーギャラリー〉が紹介され、デモンストレーションのギャラリー役の募集があったので、すかさず立候補。私が選んだ生きものは「シカ」でした。
当時勤めていた幼稚園のキャンプ等で清里にはよく来ており、シカとの出会いも多かったので、私が今まで出会った時のシカの動き、人間に気づいた時の反応の仕草、何気ない表情など記憶の中で再生し、シカに気持ちを寄せながらイメージを膨らませました。
アクティビティ開始後は自分がシカであることに集中し、細かいことは考えず思いつくままのシカを表現しました。
シカの場合は角に見えそうな適度な大きさの枝を2本使って、ハチマキ状にしたバンダナの間に挟んで頭に着けます。そして、もう一つ欠かせないのが前足の補助として使う木の棒(中太で3~40㎝ほどの長さの枝)です。

シカなどの背が高い四つ足動物を二足歩行の私たちが四つん這いになっての表現するのには辛いものがありますが、これを左右の手に一本ずつ持って前足として使うことで姿勢も楽になり、シカらしい動きが出来ると思います。
このアイデアのヒントはミュージカルのライオンキングからいただきました。
ちょっとしたインスピレーションから自然の中にあるものを借りて小道具として活用することも楽しさにつながります。

コーネルさんの話の中で「ネイチャーゲームを一言で表すと“科学と直観で自然を理解すること”です」と言う言葉を聞いたことがあります。
科学=頭の理解、直観=心の理解で、私は後者の方がより重要なのだと思っています。「演じる」は頭で理解していることを表現する事で、「なりきる」は直観を通じて心で感じたその生きものを全身で表現する事なのだと思っています。
ある生きものをはじめて表現する場合はまずよく観る。そして、目だけで観るのではなく、心の目でも観てみましょう。
そうすることで思考から始まる生きものの動きではなく、内面から湧き出る生きものの動きとなり、その生きものの姿が周り伝わることでしょう。
そうすれば、なりきっている間は上手い下手は関係なく、その生きものと一体になっている楽しい瞬間になるのだと思います。
なりきる対象は動物だけではありません。〈木のシルエット〉のように樹木や植物でもよいですし、自然物であれば岩にもなりきることが出来ます。他にも雲や風、川の流れや波などの自然の現象でもよいでしょう。みなさんの想像力で自然と心を通わせてみては如何でしょうか。
人目が気になってひとりでなりきりことに抵抗がある場合は、その生きものや対象物となる自然をしばらくよく観察し「自分の気持ちが寄りそってきたなぁ」と感じたら、目をとじてその対象物になりきっている自分の姿を想像してみるだけでもよいでしょう。
(2026.06.30記事作成)
東京都シェアリングネイチャー協会
ネイチャーゲームと出会って26年。シェアリングネイチャーウェルネスをはじめ、シェアリングネイチャーは私の人生に無くてはならないものになっています。現在は自然とともに生きるための自分探しをライフワークにしながら、学童支援や幼児教育の補助など、フリーで関わりながら過ごしています。


