TOP

ライフスタイル
自然の美しさと心が溶け合う一瞬を。〈カメラゲーム〉の魔法
忙しい日常、心がざわつくことはありませんか?
知識で自然を理解するのではなく、ただ「そこにある美しさ」と自分が溶け合う瞬間。そんな〈カメラゲーム〉がもたらす、静かな感動の時間をご紹介します。
心がざわざわするときに

皆さんは、目の前の景色を眺めているとき、つい頭の中で言葉や考えを巡らせてはいませんか?

それは「これは何という名前の木だろう」というときもあれば、目の前の風景とは全く関係のない「明日の仕事はどうしよう・・・」だったりもしますね。そんなときは思考が巡り、心がざわざわしているかもしれません。

動植物の名前を知ることや、自然についての知識を得ることも楽しいですし、いま自分がやらなければいけないことを考えるのももちろん大切です。

でも、時にはすべての思考を脇に置いて、自然を「ただ、そのまま」感じる贅沢な時間を持ってみてほしい。ということで、あなたの心と自然をダイレクトにつなぐネイチャーゲーム〈カメラゲーム〉をご紹介します。

「カメラゲーム」ってなに?

camera.jpg

このアクティビティに必要なのは、2人1組のペアと、わずかな時間だけ(1人での実践は後述します)。そして、本物のカメラは使いません! 1人が「カメラ役」、もう1人が「写真家」になります。

カメラゲームのやり方(ペア編)

1.カメラ役は、そっと目を閉じます。視界を遮ることで、きっと回りから聞こえてくる音や匂いが立ち上がり、感覚も研ぎ澄まされていきます。でも、今日は目に注目です。

2.写真家役は、カメラ役が不安にならないよう気をつけながら、ゆっくりと案内します。

3.写真家は「紹介したい自然」を前に、カメラ役の方をポンとやさしくたたいて、シャッターを切ります。3つ数えたら、もう一回肩をポン。カメラ役は目をとじます。

4.カメラ役は目に飛び込んできた自然が織りなす光の余韻、色の深さを、静かに心へ浸透させていきます。

思考が止まり、心は「凪」の状態へ

IMG_2262.JPG

なぜ、「3つ数える」のでしょうか。それは時間にすると、きっと3〜5秒くらいのごく短い時間です。

私たちの脳は、長く見つめるとすぐに「分析」や「解釈」を始めてしまいます。しかし、「一瞬の出会い」は、そうした思考が入り込む隙をあたえてくれません。

パッと目を開けた瞬間、飛び込んでくるのは言葉になる前の、純粋な自然の姿です。そのとき、私たちの内側にある日常のざわつきはスッと消え、まるで波ひとつない「凪(なぎ)」の水面のような、静かで澄み渡った心で、自然をダイレクトに感じることができるでしょう。

この「自然と自分との間に、何ひとつ遮るものがない瞬間」こそが、カメラゲームがもたらす最大の価値です。一瞬の集中が、自然との確かなつながりを感じさせてくれるのです。

暮らしの中に、贅沢な「空白」を

忙しい日々の中で、私たちは常に「何か」を考えています。だからこそ、意識的に思考を止めることのできる「自然とつながる時間」は最高のデトックスになります。

そんな時間は、実は一人でも感じることができるんです。

ネイチャーゲームの仲間の三好直子さんはこのように紹介しています。

ひとり〈カメラゲーム〉を、ふと思いついたときにやっています。庭に出た時、立ち止まって目をつぶり、頭を真っ白に。しゃがんで、焦点を地面向けてパチリ! 目を開いたら小さな草がめぶいていました。普通はしない角度をつくってパチリ! 庭木の樹形が空を背景に浮き上がりました。 数秒シャッターを開いたら、きちんと閉じて映像をあじわいます。ハズレもあるけど、新鮮な発見に出会うこと多いです。

――――『ネイチャーゲームリーダーハンドブック理論編(第8版)』P84

家族や友人に自然を紹介するそのときに

花友のご近所さんが育てているプランターの前で、「ねえねえ、おもしろいもの、見つけちゃった!カメラごっこで見せるから、ちょっと目を閉じてみて」と5歳の息子に言ってみました。

目を閉じてはいられない息子の後ろに立って、両手で目隠しをして、ちょっと顔の向きを整えて「カシャって言って手を外すから、見てみてね。見るだけね」と伝えて、写真を撮ってみました。

「これ?」って指をさそうとしたところで、また目隠ししてみました。さて、彼の心にどうのこったかな?

「今咲こうとしているこのお花、すてきだな」
「このキラキラした水玉を、あの人ならどう感じるかな?」
そんな心が動いた景色を、ただ伝えるのではなく、一工夫して紹介することで、大切な思い出として心に刻んでいく・・・きっとこの「ただ見つめる」というシンプルな行為が、深い観察力と集中、目に見えない生命への尊厳を育むきっかけにもなることと思います。

〈カメラゲーム〉で見つける「一瞬の奇跡」。絶景を見られる場所にいって楽しむも良し、日常の中にあるごくご身近な自然の中で楽しむも良し。自然との時間に〈カメラゲーム〉、おすすめです。

ーーーーーーーーーーー

身近な自然で感動体験をデザインする具体的なスキルとアクティビティが身につくネイチャーゲームリーダー養成講座で「心の持ち方」を、「体験第一」で学びませんか?
「自然が好き」を資格にする。次はあなたが、誰かの心に「凪」の時間を届ける番です。皆さんの「心に焼き付いた一枚」のお話を聞けることを楽しみにしています!



(2026.07.06記事作成)


藤田 航平 ふじた こうへい
公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 事務局次長
ネイチャーゲームトレーナー・CONEトレーナー

 

ネイチャーゲーム指導員になってすぐ、近くの地域ネイチャーゲームの会が開催するイベントに参加してきました。ペアになったのは年配の女性。私は先に写真家役、かわいい黄色いタンポポを紹介。そして今度はカメラ役、なんと、かわいい黄色いタンポポが目に飛び込んできました。

ペアの方が「私が紹介しようと思ったタンポポを見せてもらっちゃったから、どうしようかと思ったけど、せっかくだから」とチャーミングな笑顔で、はじめから同じタンポポを選んでいたのだと教えてくれて、二人で温かい気持ちになりました。

 

fujita.JPG






LPbanner0Line_1200-300.pngLPbanner2_1200-300.png