私が担当していたクラスの児童には何らかの障害がありましたが、日常会や、運動技能面で特に問題がある児童はおりませんでした。
しかし、手先が不器用だったり、集中力が持続できず学習の理解が遅れがちだったり、いろいろと課題がありました。児童たちは、私の教室に国語と算数の時間になるとやって来ます。そして、その他に週1時間、自立活動の時間にもやって来ます。
この自立活動を有効活用しようと、自然体験活動、中でもネイチャーゲームをよく実践していました。さいわい、学校付近には遊歩道や大きな公園があったので、ネイチャーゲームを実践するための環境は整っていました。
児童一人ひとりの障害の程度は違うので、ネイチャーゲームの種類により向き不向きがあるのではないかと思いましたが、彼らに受け入れ可能かどうかは実際にやってみるまではわかりませんでした。以下は実践例の一部の紹介です。
取り組みがよくなかったものは、〈ノーズ〉や〈動物交差点〉でした。
話を聞いたり、ヒントを聞き出したりしても、答えに辿り着けない児童が多かったようです。〈同じものを見つけよう〉でも、スタート前に自然の宝物を約1分間見せたのですが、その後の活動が困難な児童がおりました。どうやら、短期記憶が苦手な児童には向いていないのかもしれません。
〈フクロウとカラス〉も瞬時に判断して行動することに抵抗があるようでした。
逆に取り組みがよかったものとして〈フィールドビンゴ〉が挙げられます。これを初めて体験するときは3マス×3マスでイラスト入りカードを作成・使用してみたら反応がよく、今では4マス×4マスのイラストなしカードで取り組めるようになりました。グループで活動できることでお互いにフォローし合える点もよかったのかもしれません。
しかし、カードの項目の配置を全員分変えたり、その時季とフィールドに適切なネタを選んだりしなければならないので、カードを作成するのに時間がかかります。
そして意外だったのが、〈はじめまして〉。私も児童と一緒にフォローを兼ねながらの活動をしましたが、全員が仲間から答えを聞き出すことができました。その場で記入できたことで記憶する必要がなかったことがよかったのかなと思います。
ネイチャーゲームを知らなかった彼らも「今度の自立活動は何やるの?」と尋ねてくることがありました。「今度は○○公園でネイチャーゲームをやる予定だよ。」と答えると、彼らは嬉しそうな表情を見せ、さらに「何のネイチャーゲーム?」と尋ねてくる児童もいました。
種類によって取り組みが困難な児童でさえも、「またやりたい。」と言っていました。それに教室内で国語や算数の勉強をするよりも、外でのびのびと活動した方がずっと楽しいですよね。
私がなぜネイチャーゲームを、特別支援のクラスに取り入れようと思ったのか?
障害をもつ児童は、「言語の意味(特に抽象的な言語)を理解することに抵抗がある」と聞くことがあります。つまり、言葉で説明してもイメージすることが難しいのです。そこでまずは、多くの感覚を使いながら体験をし、理解をしていくことが有効であると思ったからです。
また、人との関わりが苦手な児童もいるので、はじめは小集団活動の中で人との関わり方を学び、徐々に通常学級の中で、それに慣れていってもらいたかったという理由もあります。
そして、ネイチャーゲームを通して、児童たちが発言をするチャンスが得られたこともよかったです。私のクラスでは、国語と算数では一人ひとり異なる学習課題がありますが、自立活動は全員が同じ課題に取り組むことができるので、感じたことや気づいたことのわかちあいが可能になります。日頃、人前で発表することが苦手な児童が多いだけにわかちあいの時間は自分から進んで発表できるよい機会になっていたのです。
最後ですが、なんといっても体験を通して「自然や生命の大切さ・尊さに気づいてほしい」という願いがあったことが、ネイチャーゲームを取り入れるきっかけとなりました。
(2026.03.23記事作成)



