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ライフスタイル
特集 Nature Game No.060〈明日への手紙〉...事務局緊急座談会コロナに負けるな!(2020.06.15)
新型コロナウイルスの感染拡大防止措置の影響で、ネイチャーゲームをとりまく環境は大きな危機に見舞われています。
一方で、身近な自然とのかかわりの大切さに今だからこそ気づけたという人も多いのではないでしょうか。
事務局スタッフが、「今」感じている思いを語り、プラスの「未来へ」つなぐため〈明日への手紙〉をつづりました。
コロナ禍でのスタッフのリアル

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参加者(写真左上から反時計まわりに)

藤田航平(ふじた こうへい)●シェアリングネイチャー組織支援室●虫が好きすぎて、虫に目を奪われ人の話を聞いていないときが、よくある。岡山出身。

渡辺峰夫(わたなべ みねお)●事務局長●メジャーなものに興味なし。サブカルチャーや雑草の茂った空き地にひたすらときめく。

草苅亜衣(くさかり あい)●広報出版事業室●上京10 周年。紙の匂い、チョコレート、岡山県が大好き。1歳男の子と6歳女の子のママ。

宮川知之(みやかわ ともゆき)●人材開発室●裏山巡りに読書、娘と息子と妻と猫の話をよく聴くこの頃を大切にしています。

佐々木香織(ささき かおり)●ネイチャーゲームショップ●テレワーク中、ご近所のばぁさま軍団と親しくなり、井戸端会議に声がかかるようになった(笑)

大武美緒子(おおたけ みおこ)●アウトドア関連の出版社勤務をへてフリーに。『シェアリングネイチャーライフ VOL.25』から特集のライターを務める

渡辺 外出自粛、それぞれテレワークが続く今の心境はどう?



藤田 各地で総会もweb会議になったりして、仲間たちが集まれないことのもどかしさを感じる日々ですね。



宮川 僕は手に取る本が違ってきています。今『火星の人』※1を読んでいて、火星に置いてきぼりにされた宇宙飛行士が、課題だらけのなか、課題解決のために生きる話。一方で周りの人は彼をどうやって助けたらいいかを考えて、人は人を助けるために生きている。現実の社会もそうなればいいなと思って読んでいます。



草苅 娘の卒園式で、本来の厳かな式次第とは別のミニマムな式になったけど、大事なところだけ凝縮された素敵な卒園式に。本当に大事なことをみんなと共通認識として持てたことが印象的でした



佐々木 私は、小学校が3月に休校になってすぐ、他のスタッフより早くテレワークになったのですが、実際やってみると想像以上に大変でした。孤独と情報共有できないのがストレスで、働く意欲を一時失ったときがあって。



渡辺 タブレットを窓から投げそうになったんだよね(笑)。



佐々木 そう、苦手なPCの設定がどうしてもできなくて(笑)。その時は、外出も今ほど厳しくなかったので、一日休んで海でリフレッシュしました。



渡辺 そこでやっぱり自然のなかに行ったんだ。



佐々木 はい。やっぱり自然のなかに足が向かいましたね。子どもと狭い空間に、24時間毎日いる生活も、シェアリングネイチャー的な気の持ちようでラクに過ごせているのかも。



大武 それは、どんな気持ちの持ちようですか?



佐々木 大きく構えることで細かいことにとらわれずに、子どもの気持ちに寄り添えることかな。ネイチャーゲームリーダーは、大人が主導して教え込んだりせずに、その人自身が気づけるよう受け身でいるという指導のポイントがあります。学校の課題も子どもの自主性にまかせて、受け身でいます。



※1 アンディ・ウィアー著(米)。2011年、ネット配信小説で全米ベストセラーになり、2014年に書籍化。日本語版は同年、小野田和子の訳でハヤカワ文庫SFから刊行

「つい、やってしまう」やっぱり、自然!

渡辺 今だからこそ気づけた「楽しさ」はあった?



藤田 子どもと身近な公園に行く時間が増えることで、毎日同じ桜の木を見上げて、今まで知らなかった1本の桜の春の移り変わりを感じることができていい時間が過ごせたかな。春の花やテントウムシを見つけたりするのもすごく楽しくて。この仕事を通して身近な自然とかかわることっていいよ!って言っていたのに、自分はあまりできていなかったんだなと。仲間たちと、身近な自然を楽しんでSNSで発信していく「ハッピーラッキーネイチャープロジェクト」を立ち上げたのですが、子どもの目線で身近な自然を見つめることで、これまでと違うSNS発信ができたと思います。



佐々木 私は4月以降は3日に1回しか外にも出ないような生活をしています。でも、外に出られなくても、窓さえあれば自然は感じられると思うんです。〈風と話そう〉というネイチャーゲームがありますが、家の窓を開けて、風を見つけて感じて、自分がその風に乗っている姿を想像したり。あえてネイチャーゲームをやろうと思ったわけではなくて、「つい、やってしまう」感じです。



宮川 僕も同じ。「このネイチャーゲームをしてみよう」じゃなくて、夕暮れに暗闇がせまってくるとき、「あ、これ〈サンセットウォッチ〉だな」と。いつのまにかネイチャーゲームのエッセンスを生活に取り入れている。今そんな瞬間が多いのが、ひとつの発見です。



渡辺 それは、積極的に楽しいことを探し出そうとしている行為?



宮川 いえ、僕はなにげなくですね。探そうとすると仕事になるんです。でもそこも大事で、僕らの仕事はシェアリングネイチャーライフへのメッセージを伝えることだから、こういう状況のなかでどんなネイチャーゲームが、やすらぎや幸福感を伝えられるかという点は掘り下げたい。やっぱりテレワークって疲れるんですよ。でも、ふとこの毎日のなかでホッとする材料、逃げ場を探している。体の中に入っているものがなにげなく出てくる感じです。



草苅 わかります。自分の日課が家の近くの人気のない神社で時間を過ごすことなんですが、昨日まで咲いていなかった藤の花が咲いていて「きれいだね」と子どもと言いあう。それだけのことにすごく感動してしまって。外に出られない制約があるからこそ、出たときにあたりまえのことをあたりまえに眺めて、感じることが貴重に思える。たとえば、目隠しすると聴覚がとぎすまされるように、一部閉ざされることで、心が揺れる感覚が大きく感じられるのと同じだと思いました。



渡辺 自分の価値観で変わったことや、ネイチャーゲームの意義を改めて感じたことはある?



佐々木 私は、これまで息子には電子ゲームは絶対だめって言っていたけど、買っちゃいましたね。そしたら、意外とおもしろいんだな~って(笑)。NOだったことがYESに。別にこれもアリなんじゃない、と思える自分に気づけたかな。社会も、既存の価値観やルールがコロナ禍で検証されて、今後変わっていくんだろうなと思います。



宮川 価値観ということで言えば、大きいことが起きると戦前、戦後みたいに時代の切り替わりがありますよね。僕は今の時代を「潮目」としてとらえていて、どんな人がどんなメッセージを送っているのかに注目しています。僕らは、ネイチャーゲームの強みをもっと掘り下げていく。ネイチャーゲームの存在に気づいてもらうためのメッセージをどう持つかだと。



草苅 私は、自分のなかで変わらず必要なものが明確になりました。私には、やっぱり「米と味噌とシェアリングネイチャー!」(笑)。今、人や社会の時間は止まっているように感じるけど、いつもどおり流れている自然を見ていると、前向きな気持ちになれます。



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ぼくらの活動には「JOY」がこもってる

渡辺 コロナで協会の活動にも大きな影響が出ていて、ネイチャーゲームリーダー養成講座9会場、フォローアップセミナー15会場はじめ、年1回開催の「全国ネイチャーゲーム研究大会」も中止に。あらためてネイチャーゲームの意義を感じた僕たちが、コロナが収束した後、どんな方向をめざしていくか。そこが大切だよね。



佐々木 コロナ禍に直面して、健全に運営してきた全国組織の団体で30年の歴史があっても、こんなに短期間で簡単に危機に陥るんだなと。コロナが収束した後も、また大きなアクシデントに見舞われたときに、協会として存続できるような仕組みづくりが必要だと感じています。



宮川 そこを僕も考えていたんだけど、スーパーや物流はじめ、ライフラインに従事している人たちは、社会を維持する上で必要な仕事という点では動じないですよね。僕らのやっていることは、ライフラインじゃない。でも、心のライフラインではあるかもしれない。生活変容はありつつも、どうやって人の心につなぎとめられるか、そこを事務局、リーダー、会員のみなさんと確認しあいたい。そこで得られたことを糧として、未来につなげたいと思っています。



大武 心のライフラインとしてあり続けるために、会員や社会にどんなメッセージを伝えていけばいいと?



宮川 もともとシェアリングネイチャーって「JOY」の部分なんですよね。「JOY」は、人の感情で欠かせないもの。その「JOY」がネイチャーゲームにはこもっているよ、という点をしっかりと伝えていきたいと思います。



藤田 自粛のなか、協会HPに掲載している「外遊び基本3条件」※2を心の支えに日々身近な自然のなかに出かけているんですが、多くの人たちは広場でボールを持って遊んでいる。そこで僕と息子は森のなかに入っていくんでね。だあれもいないです。身近な自然とのかかわりで、こんなにも「JOY」を感じられる。今、世の中には、そのことに気づきはじめている人がいるんじゃないかと。桜の名所に行かなくても近くの桜で楽しいとか、身近な自然にアクセスして、命や「JOY」を感じている人が増えていると思うんです。コロナ禍でそこにシフトしている人がいるのだとしたら、その価値観を維持させる、より大きくすることが私たちのミッションだと。そのためには、われわれが教育界などすべての国民に届けるパーツを持つべきだと感じています。ほっといたら大量消費型のレジャーに戻ってしまうので。



※2 協会が2020年4月に出した提言「コロナに負けない外遊び!基本3条件」。●近距離接触がない ●閉鎖空間でない ●混雑や不特定多数の出入りがないという3条件を守ったうえで、子どもに一日一度は外遊びをさせましょうというもの。詳細はhttps://www.naturegame.or.jp/about_us/action/happylucky/004804.html54



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今だからこそおすすめする最適!ネイチャーゲーム



〈森の美術館〉

額に見立てた枠(紙の真ん中をくり抜くだけでもOK)を自然にセットすると、身近な自然が特別な美術品に変身します!

〈音いくつ〉

耳を澄まして静かに聞こえてきた音の種類を数えていきます。ちょっとリフレッシュ!テレワークの合間にも。

〈風と話そう〉

風を見つけて、音や匂いを感じてみたり、どこからやって来たのか尋ねてみたり、風に乗ったことを想像したりしながら風と遊びます。

〈サンセットウォッチ〉

夕方から日没までの空の様子や、音や空気など自然の変化を観察しながら時間を過ごします。

〈雲見〉

静かに雲を眺め、しばらく目を閉じた後に目を開けて、空や雲の移り変わりの様子を味わいます。

シェアリングネイチャーは娯楽じゃなくて「生き方」だ!

渡辺 芸術もそうだけど、「JOY」って生きるのにとても大切なもの。でも、ライフラインじゃないものって、大きなアクシデントに見舞われたときにまっさきに削られてしまう。リアルな話をすれば、社会に対するミッションが見えづらいから、協会への寄付も集められない。協会は今、ネイチャーゲームを広めようというだけではなく、ライフスタイルや生き方に視点を広げて活動しているけど、娯楽として落とされない一歩踏みこんだアピールをしていかないといけない。



藤田 社会へのミッションとして、ライフスタイルへ踏み込むという意味では、このコロナ禍での価値観の変容を、今協会で取り組んでいるSDGsにもつなげていかなければと思います。課題を自らの問題としてとらえ、身近なところから取り組む「Think Globally, Act Locally」という言葉がありますが、外出自粛で今、すごくたくさんの人間がローカリーななかで暮らしている。だからこそ「Think Globally, Act Locally」を根づかせるために行動していかないといけない。



渡辺 そうだね。全国の会員、リーダー、そして「やっぱり自然」と生き方をシフトしようとしている人に、今日みんなで共有した思いを継続して伝えていこう。



(2020年4月23日、ビデオ会議システムにて収録)

明日への手紙

〈明日への手紙〉は、「今」感じていることや体験したことをじっくりとふりかえり、「未来」の自分に宛てた手紙に書いて伝えるというネイチャーゲーム。手紙につづることで、くっきりと心に記憶が刻まれていきます。



コロナ禍での体験、日常のささやかなできごとや自然とのかかわりのなかで、今だからこそ気づけた喜び、楽しみ。また、苦しみや悲しみでさえも、これからの人生で意味のあるものになっていくはずです。今、未来の自分に伝えたいことは、何ですか?



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情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.29 特集(デザイン:花平和子 取材・文:大武美緒子 編集:草苅亜衣)をウェブ用に再構成しました。
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