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子育て
小さい子どもとその親の自然体験を ネイチャーゲームで
ベネッセコーポレーションの『こどもちゃれんじ』20周年記念イベント「おやこみらいキャラバン」では、ベネッセと日本ネイチャーゲーム協会が共同開発したプログラムが実施されました。
「今どきの親子の自然事情」を、おやこみらいキャラバン事務局のお二人に尋ねました。

身近な自然の中で「だいじ」探し 子どもにも大人にも驚きや発見がいっぱい!

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中山隆さん

(株)ベネッセコーポレーション 幼児事業部

開発ユニット担当副部長

おやこみらいキャラバン責任者



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後藤礼子さん

(株)ベネッセコーポレーション 幼児事業部

事業推進セクションリーダー

おやこみらいキャラバン事務局



※本記事は情報誌「ネイチャーゲームの森 vol.68」(2009年12月15日発行)より転載しています。団体名称、役職者名等について発行時の表記となっている場合があります。



家庭での子どもの教育を支援する、ベネッセコーポレーションの『こどもちゃれんじ』20周年記念イベント「おやこみらいキャラバン」では、ベネッセと日本ネイチャーゲーム協会との共同開発プログラム〈しぜんのだいすきだいじさがし〉が全国47都道府県で実施されています。  

今回は、おやこみらいキャラバン事務局の中山隆さんと後藤礼子さんにお話を伺いながら、「今どきの親子の自然事情」を探ってみました。

今も昔も自然への関心はある一定上位に

――ベネッセの幼児向け通信教育『こどもちゃれんじ』が20周年ということですが、小さな子どもへの教育に携わってきたお二人にそのご経験からお話しを伺いたいと思います。これまで『こどもちゃれんじ』を通して、たくさんの子どもとその親に接してこられた中で"自然に対しての関心"について、この20年間で変化や違いなどは感じられますか?



中山
 私が『こどもちゃれんじ』に関わって10年目になります。教材などを作りながらお客様のニーズに触れてきましたが、私自身の感想では〝自然に対しての関心.は最近すごく高まってきているというわけではないですが、親のベーシックな関心として常に一定の高さにあると感じています。

『こどもちゃれんじ』の教材のテーマとしては、「生活習慣」「お友だちと仲良く遊ぶ」「文字」や「数」への興味などですけれども、ほぼそれらの興味に匹敵するくらい、自然への関心の高さは常にあるように感じています。



――最近、特に子どもへの自然体験の重要性が伝えられていますが、それは急に高まったものではなく、以前からある程度のニーズや関心があった、ということでしょうか?


中山
 そうですね、確かに最近、環境への意識は高まってきていますね。子育て環境が変化し、核家族化や地域とのつながりの薄れなど、子どもの成長に関わる大人が減りお母さんが一人で子育てをしなければならない状況になっているという社会的背景があります。さらに、親自身が自然体験の少ない世代になっていることなどから、外に情報を求めたり、子どもが自然体験をする機会へのニーズが高まっているともいえるのではないでしょうか。
キャラバンで伝えたかったのは『だいじ』

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――今回20周年で「おやこみらいキャラバン」を企画され、ネイチャーゲームと幼児向けのプログラムを共同開発されましたが、「自然」をテーマにしたというのは何か理由がありますか?




中山
 20周年を考えるときに、実は最初から「自然」をテーマに考えていたわけではなかったんですね。『こどもちゃれんじ』は通信教育が中心ですから、お客様と直接会う機会が少ないわけです。そこで、「自分たちからお客さんに会いに行きたい」という思いが、そもそものきっかけで。そこから「キャラバンで全国をまわる」という発想が生まれました。
 そして、普段やろうと思っていてもできていないこととは何なのか?これからの子どもたちにとって何が大切なのか?教材を離れてキャラバンで何を伝えたいか?を考えたときに「環境」や「命」というテーマに行き当たりました。




後藤
 「環境」をテーマにしたときに、イメージできるイベントとして「リサイクル活動」や「植林活動」のようなエコ系のものがありますが、今回は素直に自然が体験できるネイチャーゲームがコンセプトにぴったり合ったんです。




中山
 そして、テーマは「環境」や「命」だったのですが、子どもたちが身近で理解できる言葉にしたかったので「だいじ」というキーワードを中心的なコンセプトとして設定しました。
大人は"きっかけ"を与えるだけ。 あとは、子どもの感性が自由に動き出す。

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――ネイチャーゲームと共同開発したプログラム〈しぜんのだいすきだいじさがし〉の活動を、いままさに全国で開催するキャラバンで実施されていますが、その成果をどのように捉えていらっしゃいますか?


中山
 今回のコンセプト「だいじ」は、実は簡単なようで大変深いテーマでもあるので、子どもたちに伝わるのかどうか、半信半疑な部分がありました。でもイベントに参加した子どもたちに直接伝わらなくても、一緒に参加したおうちの方にメッセージが伝わればいいなという思いもありました。



後藤
 でも、実際にキャラバンをやってみて、子どもたちにも「だいじ」というメッセージがじんわりと伝わっている手応えを実感しています。〈しぜんのだいすきだいじさがし〉は、ネイチャーゲームリーダーの進行で自然のなかにある葉っぱや木の実などを拾ってくる活動なのですが、「小さなものに目を向ける」という感性はもともと子どもが持っているものなんですね。ですから小さな投げかけだけで、子どもたちは大人が何も教えなくても自分の感覚で感じ取ってくれているようでした。



中山
 そうですね、小さい子どもたちに自然の中に「だいじ」を見つけてもらうのに、ルールや細かい知識を教える必要はないなと思いました。何かきっかけを与えるから、そこからどんな「だいじ」でもいいから、自分なりに見つけてくれればなと思っています。
 イベントには親子で参加してもらっていますが、体験を共有しているので終わっても家庭でおうちの方がそれを再現できる。そんな体験がいいかなと思っていましたので、そういう意味でも今回、ネイチャーゲームを取り入れて本当にいい体験を提供できたと思います。



後藤
 ネイチャーゲームのリーダーが広げてくれる世界には感心します。葉っぱ1枚からその子の興味をどんどん広げて、次につなげていっていただいています。リーダーさんは何も教えているわけではなく、次のとっかかりを与えているだけなんですけど、それがあってはじめて深い体験ができるんですね。おうちの方もネイチャーゲームの方々の子どもへの関わり方を見て、子どもへの接し方に気づきがあるんじゃないかなと。
自然への「気づき」。 子どもの接し方への「気づき」
――環境教育には「3段階」あると言われています。はじめに「気づき」があり、その次に「理解」があり、最後に「行動」があります。たぶんリサイクル運動や植林というのは、最終的にやるべき「行動」ですが、行動に向かわせるためには「気づき」のステップが必要です。今回この年齢の子どもたちへのイベントとして、「気づき」の活動としてネイチャーゲームを取り入れたことがすごく大きなポイントのような気がします。


中山
 〈しぜんのだいすきだいじさがし〉は、特別な場所でやる特別な体験ではなく、ごく普通の日常でもできる活動なんですね。近所の公園で、親と子どもが自然と遊ぶこともできる、そんな風にもアレンジできると思っています。でも、実際に親は自分ひとりではそれはなかなかできないんですね。そこで参加した親たちに、「あっ、こういうふうに子どもと自然で遊べるんだ」という気づきになればいいなと思っています。


――イベントに親が一緒に参加して、親自身が楽しかったとか、こんなことに気づいたなどの声はありましたか?


後藤
 はい。後で書いて下さったアンケートを読むと、おうちの方も改めて自然を感じたり子どもへの接し方を考える機会になっているようです。例えば「枯葉や木の実が虫のえさや木の栄養になる...とイベントで教えていただくまで忘れていました。今まで、キャンプ等に連れて行っていましたが、今回のテーマのような基本的な事を伝えていなかったと反省しました」、「葉っぱが土壌にとってだいじなんて、私自身思ってもみませんでした。ですから子どもにそう教えることもなかったんです。ただの枯葉が、だいじな葉っぱなのだと気づき、お散歩がより楽しく会話もいっぱいできるようになりました」など。


中山
 死んだミミズを見つけて、それについて子どもがそこに命があることを発見していろいろ話していたりとか。今まであまり気にとめていなかったことに気づき、今回テーマとして伝えたかった「命」を見直すきっかけになっているのは嬉しいことです。子どもにどんな自然を体験させてあげればいいのかわからない親たちも多いのではないかと思います。今回のキャラバンはあくまで20周年のイベントですけれど、この「だいじ」というテーマを、ご家庭でも体験できるような教材に落とし込むなどして、イベントで終わらせることなく継続して考えていきたいと思っています。


今回のキャラバンにネイチャーゲームを取り入れたことによって、今までの通信教育の枠を超えて〝子どもに自然を体験させる.ことへの一歩を踏み出した『こどもちゃれんじ』。今回のインタビューで、ネイチャーゲームには子どもを惹き付けるわかりやすいプログラムとしての魅力と、子どもの気づきを引き出すネイチャーゲームリーダーの魅力の両方があることを改めて評価されたようです。近年、特に幼児教育の分野で熱い注目が集まっているネイチャーゲーム。このイベントを通じて環境学習の現場でも、新たな可能性を見出せたのではないでしょうか。





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