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小中学生の自然体験
家族で楽しむ〈きこりの親方〉で木々の個性に気づく
木々の個性に気づいていくのにぴったりの活動〈きこりの親方〉をご紹介しましょう。
木々の個性に気づく〈きこりの親方〉

あなたのまわりにはどんな木がありますか。庭の木、近所の木、よくいく公園の木、通学通勤の途中の木どんなに都会に暮らしていても、たくさんの木々と日々接しているはず。

どんな個性をもっているでしょう。

高い木、低い木、まっすぐに伸びた木、広がった木、ねじれた木、鶴に絡まれた木、縦縞の木、皮がめくれる木、根っこがとびでた木、こぶのある木、生き物のすみかのある木、葉っぱのかたちも色もいろいろ、季節になると花や木の実で楽しませてくれる木、あいさつしたくなる木

身近な木々の個性を意識してみると、毎日がとても豊かになるはず。

そんな木々の個性に気づいていくのにぴったりの活動〈きこりの親方〉をご紹介しましょう。

通常はグループでチームをつくり、親方と弟子になって、1本の木を調査してあてるというネイチャーゲームの人気の活動の一つです。

今回は家族や仲間と気軽にできる簡単な方法をご紹介しましょう。

やり方はこうです。

(1)親方を決め、他は弟子となる。親方は木のある方に背を向けて、目をつぶる。
(2)弟子は木を決めて目印を置く(ハンカチなどなんでも)
(3)弟子は親方の前に一列に並び、親方は目をあける。ふりむいてはいけない。
(4)弟子に1回にひとつ指令を出して、弟子は調査にいき結果を伝える。 次の弟子は調査結果の報告のあと、指令をもらう
 (調査事項の例:木の太さ、手触り、木肌の様子、葉の形、匂い、枝ぶり、その木の方角など)
(5)調査結果が十分あつまったら、弟子が目印をとりにいき親方にわたす
(6)親方はふりむいて、木をさがす。「これだ!」と思った木に目印を置く
(7)あたっていたら拍手!はずれていたら、すこしヒントを加えてあたるまで継続する
身近な公園で親子でやってみると

小学校4年生のさっちゃん親子とは、定期的に一緒にネイチャーゲームをする機会がありました。

まずはなにげなく、

ヒントをいうから、ここの周りでその木をみつけてね。 高さは私の2倍ぐらいかなぁ。太さはこれくらいかなぁ


と腕を組んでまるく示しました。

木の肌は、横線がたくさんついていて、ボツボツもある。さわるとざらざら。色は赤茶

木のかたちは、私の胸のあたりから2本にわかれ、その上から広がっている

根元は、2本おおきな根っこが1mぐらい横にでている

この木のスペシャルは、幹の下の方に大きな傷がある


さっちゃん親子はあたりを見まわし、一本の木にかけよりさわったりのぞいたりしながら「これだ!」とみつけてくれました。拍手!
そこで、さらにこう続けました。

さっちゃんはきこりって知ってる?きこりはいまみたいに木をいろんな見方でチェックして、切る木、残す木など決めていくんだよ。〈きこりの親方〉ってゲームやってみない?


「やりたい!」 とさっちゃん。

そこでまずは、わたしが親方になり、さっちゃん親子に弟子になってもらいました。

調査項目をつくることに行き詰まることもあるので、みんなで調査項目をだしあった後、 私は後ろを向いて目をつぶり、さっちゃん親子が木を決めてかえってくるのを待ちました。 親方と弟子2人の調査開始!

「木の太さを調べてこい!」「OK!」「わたしがかかえてちょっと届かないぐらい」
「木の肌の様子をみてこい!」「了解!」「黒灰色で皮がむけるみたいになってる」
「木のかたちをジェスチャーで報告を」「よっしゃ〜」

「根元」「葉っぱ」「その木のスペシャル」など7つぐらい調査してもらったでしょうか。

そして振り向いて、さがしにいくと…..あった、あった、調査項目そのままの木がぱっと目にとびこんできました。近くにいってひとつひとつ調査項目を確認して、「この木だ!」と伝えると、ふたりとも大拍手。大きなケヤキの木でした。  

そのあと、さっちゃんも、お母さんも順番に親方を体験。3人で公園の木々をいったりきたり。

さわって、ながめて、あてて、もりあがって...いつのまにか親しくなった木は3本。

楽しかったなぁ。そして、さっちゃん親子の間で木について話題にする機会が増えると本当にいいなぁと思いました。

きこりの親方誕生秘話

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ネイチャーゲームは公募をしています。書類審査、実践審査を通過して、「ネイチャーゲーム」に認定されます。

認定や実践のプロセスで、もっとこうした方がよくなるという場合は、修正をかけながらアクティビティとして整えていきます。

〈きこりの親方〉も元々は別の名称で応募された活動でした。実践審査は軽井沢の森で行われました。質問する役を、当時アクティビティ審査員であられた日本体育大学の故・小泉先生もやりました。がっしりした体格でまじめな顔をするとちょっと迫力。

「木の太さをみてこい!」「樹皮はどんなかんじがみてこい!」「根元はどんなかんじかみてこい!」という指令が、なんだか親方みたいで愉快だと大笑い。

そうだ!アクティビティ名も〈きこりの親方〉にしてしまったらどうか!ということになったのです。

発案者の了解も得て、ネイチャーゲームのアクティビティとして認定された〈きこりの親方〉。
アクティビティの名称は、やってみたいな!と思ってもらえることも大事です。〈きこりの親方〉ときくと、なんだろう…やってみたい!と思いませんか?

小泉先生のおかげで〈きこりの親方〉となったこのアクティビティは、今では全国あちこちで実践される人気アクティビティになっています。

〈きこりの親方〉のグループ指導の方法はこちです

(1)グループにわかれ、一人が親方他は弟子になる。
(2)色のついたバンダナをわたす。
(3)やり方を説明する
a.渡したバンダナを木につけるのでそれを調査する。
b.親方になった人はあてる木がある方に背中にむける。ふりむいてはいけない。
c.弟子は親方の前に一列に並ぶ
d.親方は弟子に調査項目1つを一番目の人に伝える。
e.一番目の弟子はそれを調べて親方に伝える
f.親方は2番目の弟子に次の調査項目を伝える。
g.2番目の弟子は、それを調べて親方に伝える。 これをくりかえす。全部の弟子がおわったらまた1番目から
h.親方が十分は調査結果を得たら、次の弟子はバンダナをとりにいき、親方に渡す。

(4)スタート前に、調査事項をグループ内で数分話し合う時間を設ける。その間にリーダーはグループ数の木に印をつける(色ちがいのバンダナなど)
(5)親方の前に弟子は一列に並び、順番に指令を聞き、調査結果を親方に伝える
(6)調査結果が十分になったら、印をとりにいき親方にわたす
(7)親方はさがしにいき、「これだ!」と思ったらバンダナを置くか縛る
(8)あたったら弟子たちは拍手!はずれたらヒントを加え、あたるまで実践




(2025.12.24記事作成)

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●ネイチャーゲームの講師を呼びたい方は
 ▶︎講師依頼をして自分のイベントで実施する





三好直子 みよし なおこ

日本シェアリングネイチャー協会専務理事
ネイチャーゲームトレーナー

台所のカーテンをあけると、庭の柚子や甘夏の黄色が華やかです。この2つの果物をお世話になった人に配るのが毎年の恒例。届けにいって弾む会話、別のものをいただいたりもします。収穫は大変だし、買ったらいくらもしないものですが、こういうやりとりは豊かだなぁと柚子と甘夏に感謝。

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