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【ネイチャーゲーム×リトリート①】 私だけのとっておきの場所を見つけよう。「わたしの岩」
【ネイチャーゲーム×リトリート②】〈風いくつ〉――自然の"リズム"を取り戻す時間
「木の形が、どうも気になる」
リトリートの中で、森でヨガをすることがあります。 自然の中で体を動かす時間は、とても気持ちが良いものです。
リトリートとは自分と向き合う時間。
ひらたく言うと自分に“気づく時間”で、自分の感情や体調を自然現象として感じ、更には自分自身さえも、また自然の一部であるという、外の世界との繋がりにおける感覚的な気づきです。
自然の中でヨガをすることは、心を整え、自然と一つになるための、とても大切な方法だと私は思っていて、ヨガやマインドフルネスなどをよく行います。

実際に自然の中で行うため、リトリートでは、木のポーズや、山のポーズなど、自然物の形を真似たポーズを行うことが多いです。
ただ、木のポーズに関しては、ヨガスタジオで行う時は良いのですが、自然の中で行うには、ずっとどこかで「何かが気になる」と感じていました。
木の形が、どうも気になる、その違和感。
木のポーズとは、片足で立ち、両手を頭の上で合わせる、有名なあのポーズです。
とても美しく、集中力も高まるポーズなのですが、 森で実際の木々を見ていると、どうもその形と一致しないのです。
ここで、ひとつ仮説が浮かびました。
ヨガ発祥の地と思われる北インドでは、針葉樹が多く、あの手を上で合わせる形は、その環境の中で自然と生まれたのではないか?
私の勝手な憶測ですが、そんなことを思いました(笑)
私がリトリートを行っている場所には、広葉樹が多く、枝はもっと横に広がり、風に合わせて揺れています。
まっすぐ静止しているというよりも、その場の自然に合わせて、形を変え続けているように見えます。
また、季節によっても姿は大きく変わります。
夏は青々と葉を広げ、秋には葉が落ち、冬には枝だけのシルエットになります。
同じ「木」でも、その表情はひとつではありません。
だから、私が大切にしたかったのは「気になるヨガ」ではなく「木になるヨガ」笑
そこで私は、木のポーズを少し崩してみることにしました。 両手を上で合わせるのではなく、枝のように横に広げてみる。 秋には、手をひらひらさせて、落葉のようにしてみる。
現場で、実際にこれをやってみると、バランスが崩れるので結構盛り上がります。
ネイチャーゲームの〈木のシルエット〉とは少し違い、あくまで目的はヨガですから、足はあくまでも木のポーズで片足立ちです。
本格的にヨガを学んでいる人には怒られるかもしれないけど、紅葉の時に手で落葉のパタパタを再現していると「こっちの方がいいじゃん!」と思う事があります(笑)

そうしているうちに、「ポーズを取っている」という感覚が薄れていき、その場の木々と一緒にいるような感覚になっていきます。
これは「木の形を真似る」というより「木になる」感覚。
私がリトリートで大切にしているのは、ポーズの上手さや完成度じゃなくて、この自然との一体感。
正しい形を取ることよりも、その場所の自然に自分を合わせていくこと。 その方が、よほど自然に還る感覚があります。
リトリートは、自然の中に行くことが目的ではなく、人が自然の一部に戻るための時間です。
木の形を真似るのではなく、 その場に佇む、一本の木になる。
そんなヨガがあっても良いと思います。
リトリートとネイチャーゲームは、こうして現場で繋がっています。
(2026.04.13記事作成)
千葉県在住のネイチャーセラピスト
鹿野山自然学校校長
リトリートのプロデューサーとして、全国のリトリート施設の開発に携わる。2024年12月に出版したリトリートのガイド本「リトリート休養術」はAmazon kindleで2部門でベストセラー1位。(2025.4.9〜4.10)



