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【ネイチャーゲーム×リトリート①】 私だけのとっておきの場所を見つけよう。「わたしの岩」
【ネイチャーゲーム×リトリート②】〈風いくつ〉――自然の"リズム"を取り戻す時間
【ネイチャーゲーム×リトリート③】「気になるヨガから木になるヨガ」〈木のシルエット〉応用編
皆さまは、一日の中で「音」に耳を澄ます時間はありますか?
ものすごく急いでいると、こんなこともあるかと思います。
朝、小鳥がさえずっていても、音として認識しているだけ。
通勤時に風が木々を揺らしていても、風情を感じることなく、そそくさと通り過ぎる。
川のせせらぎも、ただの「環境音」として背景になっている。
現代の私たちは、耳には届いていても、それを「聴く」ところまで意識を向けることが、なかなか難しくなっているのかもしれません。
加速する社会の中で、知らず知らずのうちに自然のリズムから離れてしまう。そんな毎日を送っている方も多いのではないでしょうか?
もちろん、私も同じです。
日々の暮らしの中では、私たちの意識は、いつも“次の何か”へ向かっています。
仕事のこと。 家族のこと。 明日の予定。
頭の中では、次にやるべきことや考えなければならないことが絶えず浮かび上がっては作戦を立てたり、やらなきゃいけないリストをこなしていく毎日。
毎日に飲み込まれては、プハッ!!っと一息できる瞬間を求めて生きています。
だからこそ、自然のリズムに戻れるシェアリングネイチャーの取り組みには、とても共感しています。
私自身も、そんな時間が必要だと思い、先に進むことは、ひとまず置いておいて、こうして大事だと思うことを書き留めています。
そして同じような誰かに届けばいいな、そんな思いで、コラムを書いたりしています。
街のスピードから、自然のリズムに減速するには、すこし時間が必要です。
私が普段行っているリトリートの現場でも、自然の中へ入ったばかりの皆さまは、まだまだ街のスピードをまとっています。
身体は自然の中にあっても、意識はまだ日常にある状態です。
そんな時、私は「無理に何かを感じようとしなくても大丈夫ですよ」とお伝えします。
自然は最初からそこにあります。
森に入る前から、鳥はずっと鳴いていて、風は吹き続けています。
だから、無理に何かを探そうとしなくても大丈夫です。
しばらく静かに自然の中で過ごしていると、それまで背景だった鳥の声や風の音が、少しずつ輪郭を帯びて身体に響いてくるようになります。
「こんなに小鳥たちに囲まれていたんですね!」 「遠くから川のせせらぎが聞こえました、あちらに川が流れているのですか?」
そんな声が、少しずつ聞かれるようになります。
私は、この感覚を「自然とリズムが合ってくる」と表現しています。
自然が変わったわけではなく、それを受け取る自分自身のリズムが変わったと言えるでしょう。
社会の一部として生きていた私たちが、自然の一部である「ヒト」に戻っていく感覚を得る。
私は、その瞬間こそがリトリートの本質なのではないかと感じています。
そんなリトリートを続ける中で、私はネイチャーゲームの〈サウンドマップ〉と、驚くほど共通するものを自分の活動の中に感じました。
〈サウンドマップ〉のやり方
1. 場所を見つける: 公園や森、あるいは庭先など、自然を感じられる場所で、心地よく座れる場所を見つけます。
2. 中心を決める: 紙の真ん中に「自分」を表すマークを書きます。
3. 耳をすます: 周りから聞こえてくる音にじっと耳を澄ませましょう。
4. 地図に落とし込む: 音が聞こえてきた方向や距離に合わせて、紙の上に音を記号で記録していきます。
私自身のリトリートでは、〈サウンドマップ〉のように音を紙へ描くことはしていません。
その代わり、自然の中で目を閉じて静かに過ごしたあと、「どんな音が聴こえましたか?」と参加者同士でシェアする時間を大切にしています。
「右の森の奥から鳥の鳴き声が聞こえました。それも数種類いました」
「風が吹くたびに、木々のこすれる音が聞こえますね」
そんなふうに、一人ひとりが感じたことを言葉にしていきます。
すると、不思議なことが起こります。 自分では気づかなかった音を、他の誰かが聴いているのです。
参加者それぞれが感じた音を重ね合わせていくと、それまで断片だった自然の風景が、少しずつ立体的になっていきます。
もちろん自然だけでなく人の響きもキャッチします。
「奥の方からチェンソーの音が森に響いていますね」とか「たぶん、遠くで飛行機が飛んでいる」など、そんな音を拾う方もおられます。
私も、「今の「ギー」って鳴き声、コゲラといってキツツキの仲間なんですよ」など自然に詳しい者の視点で音を重ねていきます。
それはまるで、一人ひとりが集めた音を持ち寄り、みんなの心の中に一枚の風景を描いていくようです。

紙に描くか、頭の中に描くか。
その違いはありますが、私は〈サウンドマップ〉とリトリートには驚くほど多くの共通点があると感じています。
どちらも目的は、音を集めることではありません。
自然に耳を澄まし、自分自身の感覚を自然の中でひらいていくこと。
街で閉じていた感覚を、自然の中で取り戻していくこと。
そして、自分だけでは気づかなかった自然の豊かさを、他の誰かと分かちあうことです。
一人で自然を感じる時間にも、もちろん大きな価値があります。
けれど、お互いの気づきを共有することで、一人では出会えなかった自然の姿が少しずつ立ち上がってきます。
私は、この時間に、シェアリングネイチャーが大切にしている価値の一つが表れているように感じています。
きっとサウンドマップとは、音を集めるアクティビティではなく、自然とのつながりを取り戻し、その豊かさを分かち合う時間なのだと思います。
リトリートで行っている頭の中に描く〈サウンドマップ〉と、ネイチャーゲームの紙に描く〈サウンドマップ〉は、方法は少し違いますが、目指しているものは同じといえます。
皆様も、頭の中だけでやる〈サウンドマップ〉、紙に描く〈サウンドマップ〉など、いろいろな方法を試してみると、きっといろんな発見があると思います。
たまには、少しだけ立ち止まって、自然の音に耳を澄ませてみませんか?
(2026.08.13記事作成)
千葉県在住のネイチャーセラピスト
鹿野山自然学校校長
リトリートのプロデューサーとして、全国のリトリート施設の開発に携わる。2024年12月に出版したリトリートのガイド本「リトリート休養術」はAmazon kindleで2部門でベストセラー1位。(2025.4.9〜4.10)



