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ライフスタイル
特集:子どもは毎日楽しい!(SNL 47号/2025年12月号)
園長先生も、保育士の先生も、地域の大人も、園児と一緒に自然と遊ぶ保育園、なんだか楽しそうじゃありませんか?
そこは、五感で自然を感じ、不思議や発見をわかちあう 「ネイチャーゲーム」を保育に取り入れている、ねむの木保育園。
「ネイチャーゲーム」が子どもたちとまわりの大人たちに、どんなワクワクやキラキラをもたらしているのか、取材してきました!
子どもに合わせてアレンジ これもネイチャー

東京都•町田市 ねむの木保育園/ネイチャーゲームリーダー

村田 隆行園長&保育士、職員のみなさん

2001年の開園から、ネイチャーゲームを保育活動に導入。2015年、ネイチャーゲーム認定園制度のスタート時から登録。村田園長は地域のシェアリングネイチャーの会にも所属し、幅広い活動を行っている。園がネイチャーゲームリーダーの資格取得を支援しており、リーダー資格を持つ保育士や職員が多く在籍。自然体験のほか、木育・食育を重視した保育を行っている。

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保育園のシンボルであるねむの木を真ん中に、さまざまな植物が茂る園庭。園のすぐ隣には背の高い木々が屋根のように覆う公園。ネイチャーゲームをするのにもってこいの環境です。

園では『園長とネイチャーゲームの日』を設けていて、事前に担任の先生たちと打ち合わせをして活動案に組み込んでいます。しっかりネイチャーゲームをする日もあれば、地域のシェアリングネイチャー仲間の〝そのやん〟がギターを持って来て、園庭で子どもと歌ったりする日もあります


IMG_2700.JPG自然の中で、ギターを奏でながら子どもと遊ぶ“そのやんの日”のひとコマ。
子どもたちが成長して『園庭でそのやんっていう人と一緒に遊んだな』と思い出すときがあるはず、と村田さん。


落ち葉や木の実を使ったクラフト活動や、拾った木の枝を自分に見立てた遊びなど、子どもたちの年齢、興味・関心を大切にしながらアレンジした、ねむの木保育園版ネイチャーゲームの数々を、楽しそうに紹介してくれる園長の村田隆行さん。

ここでは、先生同士の共通用語として、ネイチャーゲームや自然遊びを〝ネイチャー〟と呼んでいるんですけど、ネイチャーゲームの型にとらわれすぎるのは、本来の〝ネイチャー(ゲーム)〟の意味に達していないと思うんです。たとえばカードに書かれた自然物を探す〈フィールドビンゴ〉で、「白いもの」と記してあっても、子どもが別の色の自然に興味をもったっていいんですよ。自然を感じるきっかけができること、そしてそのときに『それ、いいね!』と認め合える雰囲気が大切だと思うんです



そんな村田さんも、リーダーの資格をとってしばらくは、型通りやろうと必死でした。

子どもに合わせてアレンジしていいんだよ!と教えてくれたのは、ネイチャーゲームの先輩や仲間たち。そして、子どもたちの自然を楽しむ姿から学ばせてもらいました


園でネイチャーゲームを取り入れる意味をこうも続けます。

僕も子ども時代に両親や家族、年上のいとこや親せきに囲まれて草笛や山菜採りといった、自然の中での遊びや知恵をたくさん教えてもらいました。ネイチャーゲームに出会って、そんな風景を思い出したんです。
五感を使って、全身で自然とたわむれた園での時間が、子どもたちの原風景として残り、ふとしたときに思い出してもらえたらいいなと思うんです
ネイチャーゲームで子どもも大人も世界が広がる

ねむの木保育園では、ネイチャーゲームリーダー養成講座を園の研修として勧めています。その理由を、村田さんはこう話します。

自然や子どもが好きという共通点で、さまざまな年代・職業・価値観の人が集まり、ネイチャーゲームが凝縮した講座を受けた経験は、僕にとって大きな財産になりました。園の先生たちにもぜひ一度講座を受け、保育だけではない視点や学びにつなげてもらえたらと思って、タイミングを見て声をかけています

実際に講座を受け、リーダー資格を取得した4名の保育士の先生にもお話をうかがいました。

どの先生も始めは、「ネイチャーゲームって何?」「リーダーって難しいんじゃない?」と少し不安を感じていたとか。けれど、それは杞憂に過ぎず、ネイチャーゲームに出会えてよかったと口をそろえます。

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それまでは、花や木を見るとすぐ名前を知ろうとしたんです。でも、子どもたちって〝いいにおい〟とか、きれい〟っていう感覚が先。その気持ちがわかるようになりました

と、地域の子育て支援を担当する岡野啓子さん。同じ担当の高村千鶴さんも、

風の音、葉っぱのサワサワしてる音がすごく心地いいものなんだと感じるようになって。そうした感覚を子どもたちと一緒に楽しんだりできるようになりました

と、自然との向き合い方と保育観の変化を語ります。

そして、毎年クラス担任をしている寺澤友梨さんは、保育にネイチャーゲームの視点が入ることで、子どもの遊びや世界が広がると気づいたそうです。

子どもたちと公園に行き、他の先生たちが安全点検をしている間に、自然の中の音に耳を澄ませる〈音いくつ〉をやったり、この落ち葉の裏は何色でしょう? とクイズを出したりして子どもたちと待っているんです。そのちょっとしたきっかけで、『さっきの落ち葉の色と同じ色だよ』とか『また同じ音聞こえたね』とか、子どもたちの発見が増えて、遊びが変わるんです

事務担当の美澤奈美子さんは、ネイチャーゲームが子どもの感性を育む保育環境の大きな要素であるとも。

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日々の保育活動で、子どもたちと花を眺める、触れるだけでも〝ネイチャー〟だと思うんです。そこで子どもたちの気づきを大人がそばで一緒に共有する。その心地よさ、楽しさが子どもたち全体に伝わっていったらうれしいですよね
自然への親しみが生まれた子どもたち

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先生方の話題は、〝自然に触れ・感じ・わかちあう〟毎日がもたらした子どもたちの素敵なエピソードへと続きます。

以前、園庭に斜めに傾いた大きなさくらの木があったんです。年長のやんちゃな子どもたちは、登ったり飛び降りたりして、格好の〝遊び場〟でした。
それがネイチャーゲームをきっかけに、そのさくらの木が傾いているのを〝かわいそう〟と思うようになったみたいで、木を下から『大丈夫かな』って支える姿が見られるようになったんです。さくらの木に新たな親しみが生まれて、そういう行動に至ったのには、とても驚きました

と話すのは、当時、その子どもたちの担任をしていた寺澤さん。続いて、村田さんも懐かしそうに振り返ります。


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卒園を前に、目隠しをした友だちの手を引いて自分の気に入った木に触らせて、その木を探してもらう〈わたしの木〉っていうネイチャーゲームをしたんだよね。その前段階で、木に着目した〈フィールドビンゴ〉や、特徴からどの木かを探し当てる〈めざせ名探偵〉〈きこりの親方〉もやりましたね……

長い時間をかけてネイチャーゲームをして、木との関わりを持てるいい空間だったと、先生方みんなでしみじみ。

最後は木が強風で倒れそうで危ない、という状態になってしまって…。みんなで触ってお別れしたんですよね。その姿も感動的でした

ネイチャーゲームを通じて「木も生きている、個性がある」と感じ、大切にしようとする気持ちが芽生えた子どもたち。そしてそれに気づき、よりそう大人たち。そんな園のやさしい 空気に、子どもたちの感性は育まれ、大切な思い出の一ページとして心に刻まれていくのでしょう。

最後に、「ネイチャーゲームを知らない先生たちに勧めたい」「園でネイチャーゲームを広げたい」と考えている保育士、幼稚園の先生に向けて、アプローチのアイデアをうかがいました。

とにかく実践してみること

子どもは自然の中で、不思議や発見を純粋に楽しみ、遊びを作る名人。大人が気づかなかったおもしろさを教えてくれるかもしれません。

「ネイチャーゲームとは何ぞや?」を説明しようと気負わずに、まずはネイチャーゲームのエッセンスを取り入れた遊びを、大人も子どもに返って、子どもと一緒に楽しむことから始めてみませんか。

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ネイチャーゲームを園で広げたい保育士&幼稚園の先生必見!

アイデア1 楽しさをわかってもらえば、広がるきっかけに
落ち葉に色をつけ、スタンプにしてペタペタと押していくうちに、「ハリネズミに見えるね」「鳥さんみたいだね」という会話が広がっていきます。こういう遊び方も、ネイチャーのひとつになると思うんです。葉っぱを1枚1枚じっくり見ているだけで、葉っぱにも個性があることに気がつきます。それをきっかけに、ネイチャーゲームに興味を持ってもらえるといいなと思います。(美澤さん)

アイデア2 子どもたちの姿から気づいてもらうのもひとつの手
いろいろな業務がある中で、ネイチャーゲームを知ってもらおうと準備するのは、なかなか大変だと思います。だから「、いいな」と思っているアクティビティをとりあえずやってみる!すると、子どもたちから何かしら反応があるはずで、その姿がすべてを物語っています。「楽しかった」と家庭で話してくれたり、その後も遊びが続いて、つながったりしていきます。まわりの先生たちもその様子に気づいて、「ネイチャーゲーム楽しそうだね」「こういう自然遊びがあるんだね」と派生させていくのもひとつかなと思います。(寺澤さん)

アイデア3 作品を展示して保護者の方々も巻き込んじゃう!
園では、ネイチャーで作った作品を、その日のうちにエントランスなどに掲示します。お迎えに来た保護者の方に、「こんなの作ったよ!」と子どもが話しやすくなるんです。楽しそうな様子から、こんな素敵なことをしたんだなって伝わります。中には服が汚れる泥遊びなどを敬遠する保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、「これなら子どもと一緒にやりたい」って思ってもらえるアクティビティもあるはずです。子どもの世界は当然、家庭にもつながっていますから、園でのネイチャーゲームの体験を話してくれるんですよね。子どもを通して家庭と園、双方に浸透していくと思います。(寺澤さん)

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情報誌「シェアリングネイチャーライフ」Vol.47 特集(取材・文:茂木奈穂子 編集:藤田航平・新名直子・豊国光菜子、校條真(風讃社))をウェブ用に再構成しました。
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