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Vol.3 シェアリングネイチャーの背景にあるインスピレーション

シェアリングネイチャーを深めよう ジョセフ・コーネルからのメッセージ
Vol.3 シェアリングネイチャーの背景にあるインスピレーション

 こんな街が想像できますか? とても美しい街、まるで明日の街のあるべき姿のような街です。想像してみてください、どこを向いても美しい景観が広がり、目を楽しませてくれる街│││遠くの丘や谷、近くの草原、木々、そして、花々を。
 想像してみてください、人々がお互いへの、そして自分の人生で出会ったすべての人々へのやさしさを胸に、喜んで協力し合う方法を知っているコミュニティを。想像してみてください、人間の価値が何よりも大切にされる街を。想像してみてください、人々が喜びとインスピレーションを得るために生き、そのインスピレーションを他の人々とわかちあいたいと思える場所を。「成功する」ということが、内面的な自己啓発の意味において理解される場所を。
 あなたはこう言うかも知れません。「そのような場所を想像することはできる。でも、実現できるのでしょうか?」
 「できます。だってその場所は存在するのですから!」
 上記は「Cities of Light(光の街)」という本に書かれたアナンダ村に関する言葉です。私の妻アナンディと私はこのアナンダ村に40年近く暮らしてきました。このような希望にあふれたコミュニティでの生活は私たちの人生だけではなく、私のシェアリングネイチャーの仕事にも大きな影響を与えてきました。そして、この度、私はこのニュースレターの編集者より、日本のネイチャーゲームの仲間たちにシェアリングネイチャープログラムの原則と独自性をよりよく理解してもらうために、アナンダ村での生活がいかに私の人生哲学を形作ってきたかについて書くことを依頼されたのです。
 これまでにアナンダ村には約200人の日本のメンバーが訪れ、シエラネバダの山のふもとの美しい丘にある我が家を楽しみ、コミュニティ生活や瞑想、ヨガのポーズを体験してきました。アナンダ村は世界でもっとも成功しているインテンショナル・コミュニティ(意図的に作られた共同体)の一つです。今回の記事ではまだ実際にこの場所を訪れたことのない方にこの村をご紹介したいと思います。
 アナンダ村は北カリフォルニアに位置する協同運営のスピリチュアル・コミュニティです。アナンダとは「内面的歓び」を意味し、コミュニティは「シンプルな暮らしと高度な思考」の原則に基づいています。1968年にスワミ・クリヤナンダ氏によって設立され、偉大なるヨガ・マスター、パラムハンサ・ヨガナンダの教えに捧げられた場所です。ヨガナンダは、同じ考えを持った人々が一つになり、調和的な希望にあふれる環境を作り上げるというビジョンを描いていました。ヨガナンダはこう言いました。「高い理想を共有する者たちよ、集まれ。自分たちの資源を出し合うのだ。田舎に土地を買うのだ。シンプルな暮らしは、内面的自由をもたらす。自然との調和は都市生活者にはめったに味わうことのできない幸福をもたらすだろう」
 今日、800エーカーの美しい森と草原の敷地には、85軒世帯、230人のあらゆる年齢の住人たちが暮らしています。村にはアナンダの人生哲学の教えを共有する幼稚園からカレッジまでの学校、個人やコミュニティが経営するビジネス、有機農場、パーマカルチャー・ガーデン、出版社、そして世界クラスの* リトリートセンター「エクスパンディング・ライト」があります。
 このほかにも、サクラメント、パロ・アルト(カリフォルニア)、ポートランド、オレゴン、シアトル、ワシントン、さらにイタリアのアッシシ、インドのプーンにもアナンダ・ワールド・ブラザーフッド・レジデンシャル・コミュニティが存在しています。
 次号からは、アナンダ村での生活やヨガの哲学、瞑想がシェアリングネイチャーの原則にどのようなインスピレーションを与えたかということ、例えば、「体験第一、説明は後で」、「楽しさは学ぶ力(経験の中には歓びの感覚が満ちているべきであること)」、「ネイチャーゲームとフローラーニングを通して人々の意識を向上させること」、そして、「自然を直接的に吸収する体験の大切さ」といったことについて書いていきたいと思います。

Joseph Cornell ジョセフ・コーネル
1950年米国カリフォルニア州生まれ。野外教育インストラクターを経て、1979年『Sharing Nature with Children』(邦題:『ネイチャーゲーム1』柏書房)を発表。現在、世界的なナチュラリストとして活躍。米国アナンダ村で瞑想やヨガ、菜食主義を取り入れた自然と調和する日常生活を送っている。シェアリングネイチャーワールドワイド会長。(公社)日本シェアリングネイチャー協会名誉会長。2011年6月来日予定。

ジョセフ・コーネル近況報告
ジョセフとアナンディ・コーネルは、北米カリフォルニア州、アナンダ・ワールド・ブラザーフッド・ビレッジに35年以上暮らしてきました。昨冬、アナンダ村の創設者スワミ・クリヤナンダが創設したスワミとしてのイニシエーションを受ける栄誉を受けました。

アナンダ村HP
http://www.anandavillage.org
アナンダ村の様々な側面を映し出した美しいスライドショーを見ることができます。
http://www.anandavillage.org/pictorial-tour/

Retreat center リトリートセンター
日常生活から離れ、自然の中で(アナンダ村の場合は、瞑想やヨガなどを通じて)静かに自分を見つめなおす施設。

翻訳:藤牧智子

※本記事は情報誌「ネイチャーゲームの森 vol.71」(2010年9月15日発行)より転載しています。
 団体名称、役職者名等について発行時の表記となっている場合があります。