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「シェアリングネイチャーライフvol.38冬号」編集後記の続き!

情報誌「シェアリングネイチャーライフ」編集長をしている、よいしょこと、藤田です。


情報誌最新号が発行されました!
ご覧いただけたでしょうか?

今号の特集の取材では、
「夢や理想にむけてネイチャーゲームを実践する仲間」の紹介で、
「きこりのタジー」こと、愛知県の新城(しんしろ)キッコリーズの田實健一さんの仕事場にお邪魔してきました!

その日に、田實さんたちが整備していた森には
山の中を縫うように走る細い市道の奥にある
小さな広場から、さらに手作りの道を入ったところ。

この道を拠点にしながら伐採と丸太の搬出をし、
市道でトラックに乗せて、市場へと運んでいくそうです。


その田實さんが作った道と、整備を進める森には、
たくさんの「心配り」が尽くされていて、
空間そのものが「学び」に溢れていました。


ちょっと絵に描いてみました。


20221225P01.PNG



ポイント1 道幅は2m




この手作りの道の幅は2m。
2mって両手を広げてちょっとの広さですね。
これで3mだと、田實さんがここで目指している森にならないんです。

なぜか・・・?

イメージしてみてください。
林の中に通った2mの道で、上を見上げると何が見えますか?
空だけですか?

両側に立つ木々の葉っぱが、せり出してるんです。

葉っぱがあると何が起きるかというと、
雨が直接地面をうたない、ということ。
葉っぱが受け止めた雨は優しく道に降り注いだり、
樹幹流として木々を伝って地面にたどり着く。

そうすることで「雨で土が流れるのを減らせる」のです。



ポイント2 枝打ちした枝はそのままに




林の地面には枝打ちした枝がそのままにされています。
青々とした葉っぱをつけたままの枝です。

これもポイント1と同じ理由。
あえて枝を残しておくことで、雨による土が流れるのを減らすことができます。




ポイント3 ジャストサイズの重機




丸太の搬出には重機を使います。

20221225P02.JPG
素人目には十分大きい重機のように見えましたが、これは小さい方。

重機と道のサイズは連動していて、大きな重機を入れたければ道を広げる必要があります。
この森は斜面地でもあり、道を広げるのはなかなか大変ですし、ポイント1の視点のこともあります。

大きな重機を使えればその分作業スピードは上がるのですが、
大きな重機が使えない場所だってあります。
また大きな重機になれば、動きも大きくなりますから、
「残す木」や「これから搬出する木(商品となる木)」に
重機自体はもちろん、搬出する丸太をぶつけないように
よりいっそう気をつけないといけなくなります。


ポイント4 先の先の先を見て伐る木を選ぶ



どの木を残したら山を守れるか?

木を寝かせる方向はどっちがいいか?
他の木への影響はないか、どこに寝かせられたら搬出しやすいか?

また自然は思い通りにいかないこともあるもので、
「あ、そっちに倒れちゃったか」というときには練り直し。
どうしたらスムーズに搬出できるか?
次伐る木はどれにするか?

常に考えて考えて考え尽くして、木を伐っているということがよくわかりました。


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林業に携わっている人にはきっと当たり前のことなのだと思いますが、私には学びがたくさん。
「自然を大切にする、その視点からも木を伐ることは必要」とは理屈としては理解していましたし、そうした学びを深めている方は多いと思います。

でも現場に立てば、ただ木を伐ればいいというわけでもなく
どれを残すのか、どうしたらスムーズなのか、どうしたら木こりのみなさんの収益を高められるのか・・・

田實さんの木と向き合う姿勢に感銘をうけた一日でした。



20221225P03.jpeg手前の方が田實さんたちが間伐したエリア。奥の方の暗い森はこれから間伐するところ。間伐前後の違いがよくわかります。


●新城キッコリーズ特集〜

動画 奥三河のき山放送局
https://www.higashimikawa.jp/living/voice/detail/14/


ツアー情報 森林業を営む人になる旅
https://www.shigoto-ryokou.com/detail/759


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